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造型社のアクリルホビーショップ『ZAHS』のスタッフブログです。

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組み立てキット『蒸気機関』を追加しました

2022 - 07/19 [Tue] - 14:49

今回ラインナップに追加した組み立てキット『蒸気機関』の構造と基本的な
操作の方法などをお知らせします。

機関の基本原理は蒸気溜まりの高圧蒸気をスライド弁の働きでシリンダーに配分する装置でピストンの動きとスライド弁の動きを絶妙のタイミングで制御する仕組みが見応えのある機械的構造です。

通常は一定の高圧蒸気をシリンダーに送り込む事でエンジンが始動しますが、この組み立てキットはハンドルで車輪を回す事によって一連の動きを表現しました。

逆転機を前進側にセットし、ハンドルを時計回りに回すと車輪は前進方向に回転します

SL切り替え1


この時ハンドルを反時計回りに回してもラチェットが働いて回りません。

同様に逆転機を後進側にセットした時も前進側にラチェットが働きます。 

SL切り替え2


このラチェット機能を採用したのは通常操作の逆に回転を与えた時にスライド弁の働きとピストンの動きに矛盾が生じるためです。

つまりシリンダー前室側の弁が開き高圧蒸気が流入した時、後退すべきピストンが逆に前進するような動きになります。

この矛盾を観察する事が構造を理解する助けになる事もあるのでラチェットのロックを解除する機能も設けました。

ラチェットの解除は蛍光グリーンのバーを指で引き上げ飛び出た突起にフックをスライドして引っ掛けます。

前進、後進操作の時スライド弁の動きと同時に蒸気を表すオレンジのラインが表れ、上部の蒸気溜まりのオレンジと同化して気道を表しシリンダーに流入します、このタイミングでピストンは押される方向にスライドし、排気はピストンの反対側のシリンダー室の気道から排出されますピストンがシリンダー内の最端に行った時、他方の弁が開きピストンが逆方向にスライドし同時に排気も逆転します。

車輪に備わった三日月型の塊は、はずみ車です文字通り回転に弾みを付けるための重りです。主連棒に直結する車輪の重りがより大きいのは興味深いですね。

キット組み立て完成後はスライド弁による蒸気の流れや機械各部のダイナミックな動きをお楽しみ下さい。

この一連の動きをYoutubeにUPしました興味のある方は是非ご覧ください。


蒸気機関

2022 - 01/07 [Fri] - 15:30

15378281787952.jpg

蒸気機関のキットを作りたいと設計に取り組んできましたが、なんとか形になりそうなのでお知らせします。

蒸気機関はその昔船舶をはじめ機械や車両のエンジンとして様々な場面で活躍してきましたが、やはり一番印象深いのは蒸気機関車「SL」ではないでしょうか。

SLは以前にも作った事がありますが、その時はピストンが動輪に回転力を与えるために働く主連棒や連結棒、クランクなど各部の複雑でダイナミックな動きを中心に再現した全体モデルでした。

この時はSL車両全体の形も再現したためパーツの数が多すぎて、組み立てキットにはなり得ず個人的な趣味の域にとどまっていたように思います。

それからもSLの動きや仕組みに関心を持ち続けていたので、今回は蒸気機関のエンジンの部分を再現できないかと思い設計を始めてみました。

クランクや主連棒など動輪周りは以前のモデルで作っていたので蒸気の流れや弁の動きを中心に調べてみると何とか可視化できそうなので、何はともあれ試作品を作っていると、次から次へと不都合が出てくる訳でいよいよこれからが悪戦苦闘の始まりでした。
15378281792911.jpg

モデルにしたのはC11型のSLで動輪が片側3輪の物でしたが、模型にするには3輪は大きすぎるので2輪としましたが、これがつまずきの始まりでした。

ピストンの往復運動を主連棒が動輪のクランクに伝え車輪が回転すると、その回転を連結棒が他の動輪に伝えます。

3輪の場合連結棒は一直線上に機能しますが2輪の場合回転の途中、死点から片方の車輪が逆転しても連結棒の傾きが矛盾を吸収します、言葉では上手く言い表せませんが2輪では連結棒は正常に機能しません。

それからも笑ってしまうほど多くの困難に直面しましたがなんとか解決し、観察に耐えられる模型ができたのではないかと自負しています。

特にシリンダーに蒸気を供給するスライド弁とピストンの動きに注意を払いました。

前進とバックを切り替える逆転機も備えました。

いつものようにこれから組み立て説明書を作ります、ちょっと時間がかかりますがしばらくお待ちください。

CVT変速機 Vベルトの改良

2020 - 03/25 [Wed] - 16:41

CVT無段変速機は高額商品にもかかわらず多くのお客様にご好評をいただいておりますが、Vベルトの品質が不安定なため、お求めいただいたお客様にご不便をおかけしていました。

Vベルトの構造はボールチェーンの玉と玉の間にアクリルの溝つきパーツを差し込む形をとっています。
解決すべき問題が色々ありましたがその都度試作検証を重ねてよりベターな物を提供できるよう努力して来たつもりです。

従来のVベルトは回転操作中にねじれや空回りなどのトラブルがありました。
ボールチェーンの玉の間隔が一定でアクリル版の厚みが一定数ならば何の問題もなく設計できますが、それぞれが不揃いのため、パーツの溝幅や穴のサイズを0.05ミリピッチに細分化して7種類のパーツを作り、アクリルの厚みに相応のパーツを割り当てる事でトラブルの回避を図る作戦としました。

この作戦が上手く行くとピンと背骨が通ったようなしっかりしたVベルトになって運転操作ができますが、完全にトラブルを回避するには及ばなかったのも事実です。

より良く快適な運転操作ができるよう継続的に改良を試みてきた結果、今回ようやくスムーズな運転操作ができる新しいVベルトを完成する事が出来ました。

IMG_0675.jpg

従来のVベルトは同じサイズのボールチェーンを同じ方(片側)からパーツに差し込む方法でしたが、新しいベルトは違うサイズのボールチェーンを上下(両側)から差し込む形にしました。

IMG_0676.jpg


その結果回転中にベルトのねじれも無くなり空回りも無くなりました。
構造的な理論もありますが、ともあれこれでストレスのない運転操作ができるのではないかと一安心しています。

ユニバーサルジョイント

2019 - 03/09 [Sat] - 16:16

エンジンなどの回転トルクを駆動輪に伝える時、軸の位置が上下左右にずれていてもサスペンションなどで常に動いていても確実にトルクを伝えるための自在継手がユニバーサルジョイントです。
厳密には軸の角度が変わっても回転速が変わらない等速ジョイントがあるようですが、今回は一般的なユニバーサルジョイントを再現してみました。
ユニバーサルジョイント5

ZAHSの組立てキットはこれまで透明アクリルの美観にこだわり接着も避け基本的にレーザーカットのみで製作していますが、サイズ感と強度を考慮して継手の稼動部にやむなくねじ止めを採用しました。
仕上がりの違和感を少しでも軽減するためポリカーボネートの透明ネジを使用したのはささやかな言いわけです。

ユニバーサルジョイント4


ユニバーサルジョイント単体の観察のためそれぞれの軸受けを作ってみましたが、ジョイント部のユニークな動きの観察は十分できるもののこれで楽しさを感じるとは言い難い物があります。

ユニバーサルジョイント3

やはりキットのエンジンとデフギアなどと直接繋いで回してみるとリアルに機能がわかりやすく、何よりワクワクする楽しさがありますね。

ユニバーサルジョイント2

なお動画はただ今製作準備中ですお楽しみに。

デフ分解

2018 - 09/06 [Thu] - 16:22

組立てキットのパーツ破損の原因には分解する時ツメが折れたり割れたりする事が多いようです、そこで今回はキッドの分解の手順を動画にしてみました。

デファレンシャルギアの組立て手順を先日あげましたが、それの逆バージョンです。

ZAHSのキットは突起のあるパーツを穴に差し込む構造が多いのですが、差し込んだら抜けにくいギリギリのクリアランスで設計しています、そこにアクリル板自体の厚みのバラツキもありなかなか調整に苦労もあります。

この動画は差し込んだパーツを道具を使って抜く事を実践しています、まあ道具といってもカッターナイフですけど。

カッターは使い方を誤ると危険ですから、その事も注意しながら進めていきます。

一つ目のポイント、一本の軸に刺さったパーツを抜く時は先ず一方にクサビを打ち込み次にその反対側にクサビを打ちます。このクサビがカッターやパレットナイフになります。

jikukusabi.png


最初はプチッと音がします、逆側もプチッと音がします、この小さなプチッの繰り返しです。

焦ってはいけません、急いではいけません、急ぐと割れます。

二つ目のポイント、たくさんの突起が穴に差し込まれて組み上がっている時の抜き方は、それぞれの突起の付近にクサビを打ち、少しこじ開けると次の突起に移り、次々とこれを繰り返します。

anakusabi.png


最初はカッターの刃が入る程度、徐々に隙間が大きくなりますが隙間の偏りのないように徐々に徐々に。

焦ってはいけません、急いではいけません、急ぐと折れます。

その他色々テクニックはありますが、全てあるワードに関わってくる事が分かりました。

ぞのワードは『押し抜く』です。

変な言葉で、有るか無いか分かりませんが、無理やり作った造語です。

この造語の意味を分かり易く動画が説明していますので是非ご覧下さい。

注 音が出ます

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